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ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

「t」「d」を制せよ!

「t」と「d」、とくに語尾にあるそれらを制するものが英語の発音を制する!と言っても過言ではないかもしれない。語尾の「t」は、短いが重要な頻出語(not,that, it, at, getなど)に多く使われているし、「d」は動詞の過去形を中心にやはり頻繁に出てくる。おまけに、これらは「本格的に聞こえない」(言い方がヘンだが)音なのである。有声音の「d」はまだしも、「t」となるとかなりきつい。


やはり、舌を上の歯茎に押しつけてはじくようにする。だが語尾にあるとはじきかたもあいまいで、しばしば歯茎にあてて止めてしまう場合がある。
同じ「歯茎に押しつけて止める」でも、有声音である「L」は「う」とは聞こえる。が、「t」は無声なので止めたら止めただけである。はじかなければ息の音も聞こえない。
What's that?   は、「ファッツ ダーッ?」
I can do it. なら「アイキャンドゥーイッ」である。
つまり、「t」の音は、カナで書けば、「小さい『ッ』」なのだ。
小さい『ッ』は日本語では「つまる音」とか「はねる音」と表現される。
英文中でつまったりハネたりしているように感じられる所には、「t」が居るのである。

ここでもまた、存在を認識できるようになるには、まず自分でやってみるしかない。母音を伴わない「t」の音が出てきたら、舌を歯茎につけて音を止める!と意識して英文を読んでみるのである(dの場合はそこに声がわずかに乗る)。



I got it at that shop.

ゆっくり読むと
「あい ごっ いっ あっ だっ しょっp」
(pにも母音がつかないので、口をとじて唇に息を当てるだけである)


しかし・・・ここにまだ大きな問題がある。
そもそも(これは後で別項でもっと詳しく述べるが)、英語の発音を認識する際のもうひとつの問題は単語は互いにくっついて発音されるということで、それは別に、話すスピードが速いからではなく、ゆっくりでも基本的にはそうなるのである。
上の例文でも、tはいちいち次の語の最初の音とくっついてしまう。


イギリス英語であれば、「t」を、日本人がなんとなく感じている発音と同じように発音してくれるので、上の例なら
I gotitat that shop.
「あい ごってぃったっ だっ しょっp」 のように聞こえるかもしれない。

だがアメリカ英語は「t」の音をもう少し、言ってみれば「だらしなく」はじいて発音する。つまり、あまり舌を歯茎に強く押しつけないまま、緩くはじくのだ。
前項で述べたように、これが日本語の「らりるれろ」の発音に一番近い音になるのである。

すると上の例文は
「あい ごっりっらっ だっ しょっp」
と聞こえる。gotitat の部分が、ゴリラである。次の語とくっつかないthatの語尾の「t」は消えてしまう。

waterやlittleなど、語中にある「t」も当然、アメリカ英語では「らりるれろ」に近い発音に聞こえることが多い。waterは「わら」であり、littleは「りろう」である。「りるー」とも聞こえるかもしれない。littleの場合は、例の語尾の「L」音もあって日本人にとっては難しさのダブルパンチ?だ。
Do you speak English?と聞かれて
「ア リトル」と答える人も多いかと思うが、たぶんその「リトル」の発音はかな~り「実物」と違っているはずである。


いっそ、「らりるれろ」のつもりで発音してみるといい。
waterを「わら」と言ってみる。ま、どっちかといえば「うぉら」かな。littleを「りろぅ」と言ってみる。語尾の「L」は歯茎に舌を止めて「ぅ」と言おう。その「らりるれろ」の舌の弾き加減は、たとえば「ららららら」とか「ろろろろろ」とか続けて言ったときに無意識にしているぐらいの加減である。

I got it! (分かった!)
なら「あい、ごりっ」!である。しつこいようだが、イギリス英語なら「あい ごてぃっ」と言うだろう。

アメリカ英語の方がいいからアメリカ人のようにしゃべれ、というつもりでこういう練習を勧めているのではない。アメリカ人がそうしゃべるもんだから、その正体をつきとめておかなければならない、というだけの話である。自分はアメリカ人とはほとんどつきあわない、イギリス人とだけつきあうというならそんな必要はもちろんないのだが、困ったことにアメリカ人は世界中をうろちょろしているのでねえ・・。まあ、最終的に「あい、ごりっ」と発音できなくても仕方がない。しかし少しでも練習することで感覚がつかめれば、聞いたときに分かるようになるはずである。

そういえばアメリカ人は「t」の発音をまったく無視するときすらあるようだ。20つまりtwentyは、アメリカ英語だと「トウェニィ」である。「n」のあとにくる「t」はしばしば「n」と同化してしまうのだ。want toをキヤツらは「ワナ」とか言いやがる。「うわんとぅー」→「うわぬー」→「わな」という感じでだらしなくするとそれになる。

かつて初めてイギリスに行ったとき、ホームステイする家を探して道に迷い、うろうろしていたら、典型的な親切な(お節介とも言う)イギリス老婦人が声をかけてきた。どこへ行きたいの?と聞かれ、目指す通りの名前を言う。
「あら、番地は?」
「えーと、・・・とぅえにぃ せぶん
私はそのときすでにアメリカ英語のほうにどちらかというとなじんでいたのである(それなのになぜイギリスに行ったのかは・・・あのその・・ま、いろいろありまして)。
すると老婦人は、ちっちっ、と指を立てて、ゆっくり言い直した。
「トゥエンティ、セブン」
そして私に言い直しを促すのである。
「は、あ、そ、そーりー、トゥエンティ、セブン、です、はい」
その後、
「いーい? あそこに車の走っている道が見えるでしょう? あそこをね、右に曲がるのよ、右、右よ、こっち側よ!」
老婦人は私の右の手をバシバシ叩いて、ワタクシが間違いなく「右」に曲がるよう徹底指導して下さったのだった。


ま、てなわけで、イギリス人はアメリカ人のそういういささかだらしなく聞こえる発音をちょっとバカにしている。東京人が名古屋弁を「にゃーにゃー言ってへんなの」と思うのと同じかもしれない(名古屋の人ごめんなさい)。そういう事実は知っておいてもいいかもしれない。だが一方、アメリカ人は「とぅえにぃ」「わな」「りろぅ」と発音しているという事実もやっぱり知っておいた方がいいと思うのだ。

幸い、これから練習するのであればむしろ、どうしてもそのクセが抜けないというほどにまでは身に付かないだろうから、アメリカ式の「らりるれろ」っぽい「t」の発音も練習してみるといいのである。それをあんまりしみつかせてしまうのはお勧めできないが。



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